春、夏、秋、冬、それぞれ、何を感じますか。
そこには、感性に伴った思いがあります。作者の思いをご覧下さい。
日本の四季の風情には「風」があります。
春、長く閉ざされた里山の春の緑は思う存分太陽に
光を浴びて眼に優しく映え、
揺れるブナの葉は大地か
ら恵みを吸って活き活きと踊り始めている。
それには、そよ風と言う名の心地よさがあった。
夏、風雪に耐えた樹木の下で青空に向かって可憐に
咲く草花、
涼しげに水遊びする楓の葉、そして暑かっ
た町の喧騒を逃れる鳥たち、
夏を謳歌する風情はそ
れぞれに味わいある風が吹いていました。
秋、それは野山がもっとも輝く瞬間で野山が魅せる最
終章です。
暖色のグラデーションは我々を魅了し、
の色彩の競演こそが野山のクライマックスなのです。
そしてそこには清々しい風が優しく吹いていました。
冬、動植物たちはひたすら極寒に耐え忍んで春を待
ち続けます。
そんな中に時折射す穏やかな日差しに
安らぎを感じ、
思い切って生きる喜びを噛み締めま
す。
そこには永遠に続くであろう子孫繁栄に願いを込
めた風が・・・・・。
そんなイメージを抱きながら
「風にまかせて」 と言う
メインテーマに沿って、
季節ごとの「であいの瞬間」を
追い求めてみました。
数年間にわたる集大成の中から
少しでも我々の作品から風を感じていただければ幸い
に存じます。
(展覧会用プログラム挨拶文より)
「ごあいさつ」
この度は東京ハッセルブラッドフォトクラブ写真展ご来場頂き誠に有難う御座います。
当クラブは1969年東京・上野に創設
され、
プロカメラマンの中でも世界の最高峰として君臨した「スウェーデン製中判カメラ・ハッセルブラッド」を所有する会員
たちにより
日本初のクラブとして発足し、今年で43年目を迎えます。
そして更にカール・ツァィスのレンズの描写力と解像力
に魅せられ続け、月例会には講師に稲田浩男先生(APA/JPS会員)を迎えご指導を頂いております。
昨今、カメラもデジ
タル化へと急速に変貌している中、私達はあくまでもフィルムに拘り続け、
繊細で美しい作品表現ができる喜びを感じなが
ら撮影を続けています。
そして日本の四季折々の原風景に触れ新たな感動に感謝しつつ、
自然が与えてくれたドラマにと
きめきを感じながらフィルムに収めて参りました。
この度はそんな自然との出会いの感動を「風にまかせて/出会いの瞬間」と
題して6×6判ハッセルブラッドで表現してみました。
我々の美意識を少しでも感じとって頂ければ、この上もない幸せと思っ
ております。
今後共ご指導、ご鞭撻の程をお願い申し上げてご挨拶とさせて頂きます。
2013年4月東京HPC会長:倉田靖彦
「風にまかせて」 に寄せて
「東京ハッセルブラッドフォトクラブ」のメンバー達は、
シャープな描写力と豊かな表現力のツァィスレンズと銀塩の中判フィ
ルム(6x6)にこだわって、
風景写真を中心に撮影活動を続けています。今やデジタルフォトの時代となり利便性は増しまし
たが、私共のメンバー達は、
銀塩フィルムの色調、階調、そして粒子の美しさにはまだまだ捨てがたい魅力を感じていま
す。
写真とは、プロ・アマを問わずカメラマンにとってのメッセージであり、感動や美を伝える媒体です。
被写体を借りて己
の内なる何かを表現するものです。但し、写真は色や形は伝えやすいのですが、伝え難いものがあります。
それは、音、温
度、匂い、風、そして時間や愛情などですが、これらは絶対に伝わらないものでもありません。
観賞者がこれらを感じること
が出来るような写真は傑作の仲間入りが出来る写真だと思っています。
今回はメンバー達に 「風にまかせて(出会いの
瞬間」 と題して日本の四季折々をフィルムに定着していただきました。
ここに展示した写真から、メンバー達が表現した日
本の四季それぞれの「美」を感じていただければうれしく思います。
2013年4月 東京HPC講師
(社)日本写真家協会会員 (社)日本広告写真家協会会員 稲田浩男